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必要最小の文書サーバ

「失敗する可能性のあるものは必ず失敗する」 -- マーフィーの法則


ここには、学校での文書サーバの設置例を掲載しています。
始めにサーバの概要を主に記載し、実際の設定は概要等の後に記述しています。設定の内容は私たちが使っているGNU/Linuxの 一つである「Vine 2.6」に沿って記載しています。

  • 「GNU/Linux」 と言う言葉になれていない方は、GNU/Linux の 風景をご覧になると読み進み易いでしょう。
  • 「ターミナル」「コマンド」「エディタ」等の言葉が何となくなく分からない方は、先にそ の説明をご覧下さい。
  • このウェッブページの用語に関するリンクは、その言葉の"google検索"、または関連サイトが表示されます。

  • 仕事机の上を見ると、多くのバインダーやクリアブックやハンギングフォルダーなどがあります。隣の机を見ると同じように、多くの書類がバインダーやクリア ブックに収まっています。二つの机の上にある書類は、同じものや同じ様式があるはずです。それは、報告書のコピーや参考・資料文書、各種の雛形などでしょ う。
    同じことは無駄だ
    報告書の類いは雛形を作成し、それをコピーし書き直すことができればよいのに……(雛形がある文書はまとめて置きたい)。普段作っている、文書や計画書、 報告書、たよりなどは、同じようなものを他の人が持っているかも知れません。それを借りらたら……
    まとめる
    隣同士の机の上を整理しましょう。書類整理のルールを作って共通する文書をまとめます。ただし、整理をする為の時間は設けません。

    例えば…

  • 既に定型化してある書類を纏めて、クリヤーブックの背表紙に「***報告書雛形」と書き、各雛形の書類を納めます。

  • 月ごとのクリアブックを作り、そこに一ヶ月中に作った計画書、報告書、たより等書類を入れます。一年が経過すると、一年度中に作成した書類が月別 に保存できます。年度中のある月に製作する文書は、その月のクリアブックにあることになります。

  • 上記と同じことを、コンピュータでします。
    目的は「能率を良くする」ことなので、紙とペンの仕事全てを、コンピュータに移行する必然性はないと思います。このことは、留意すべき点と考えています。
    『教務文書』や『校務文書』等を纏めて保存し多人数でコピーして使うために、職員所有のフロッピーに保存する時に一緒に文書サーバの各 フォルダに保存し次のようなファイルを集めます。

  • 既に定型化している一太郎やMS-Word、Excelファイルを『教務文書』『校務文書』等の各ディレクトリに保存します。

  • 月ごとのディレクトリを作り、そこに一ヶ月中に職員が作った各ファイルを入れます。

  • 各ディレクトリとそこにあるファイル名の一覧を作り、クリアフォルダに入れ、普段使うコンピュータの脇に置きます。

  • 各フォルダのMS-Word、MS-Excel、一太郎で作成されたファイルを読取り専用とし、複数のMS-WindowsPCやMacintoshから 開いたり別名で保存をします。

    下図で表わしているのは、文書サーバと各 コンピュータとのやり取りです。

    私たちの文書サーバは、 「GNU/Linux」 の一つであるVine 2.6が動かしています。

    GNU/Linuxを 用いた理由

    1. 特別会計の予算内で買える、もしくは減価償却されたコンピュータが稼働できる。
    2. 複数の人が共同でソフトウェアを育てているGUN/Linuxは、プログラムや関連する文書が公開されていれば、改良することが比較的少ない 努力でできる。
    3. 関係者の趣味 ;-)


    GNU/Linuxを 用いた欠点やサーバ運用をご破算にする要因を、次の様に考えます。

    1. サーバの面倒をみる方が異動されると、運用が停止するかもしれない。トラブル対応や引き継ぎに関して判りやすい案内が必要です。
    2. コンピュータネットワーキングの利便に基づいて運用するので、サーバに必要を感じない人が多いと資料が散開する。

    文書サーバの 運用に際しての心配事は、技術面よりも人的要素が多いと私たちは考えています。そこで、いろいろな制限を設けずに文書サーバを運 用しています。資料整理には最低限の決まりを作り(むしろルールは無いに近いです)、いつでも別の方法に変更できるよう最小限の運用をしています。

    また、AT互換機ならば連続運用には、限界があります。ですからハードディスクの予備在庫や代替え機が必要です。



    サーバの設置

    ここでは、GNU/Linuxの インストールを扱いませんので、雑誌やネット上の記事を参考にして下さい。

    実際に必要とされるサーバ運用時間は、私たちの勤務状況では長時間ではありません。主に午後です。その他の時間はほとんど待機状態なので、必要に応じて サーバを起動、停止を誰でも電源ボタンで行うようにします。

    別棟など離れた所からは、イーサネットインターフェースのMACアドレスに対して起動シーケンスを送る "WOLユーティリティ"を用いています。


  • マザーボードBIOSの設定
  • OSのインストール時だけにディスプレイ、キーボードやマウスを接続し、通常はそれらを外します。
    コンピュータをキーボードがなくても起動し、電源スイッチを押すことで停止を行えるように、BIOS設定を変えます。

    ここでは、電源スイッチを短時間押すと、suspendモードあるいは不動作。4-5秒押しつづけると強制電源遮断となる設定ができるBIOSを 使っているATX電源を持つコンピュータを前提にしています。最近のATX規格に沿ったコンピュータは、ほとんど使えると思います。

    コンピュータに搭載されるBIOSには種類があるので一概には言えませんが、以下の様に指定します。

  • キーボードがなくても起動する

  • BIOSの[MAIN MENU]から[STANDARD CMOS SETUP MENU]を表示させます。"Halt ON"の項目を[All,But Keyboard]に変えます。

    「設定の間違いがあると起動しないけど、キーボードが繋がっていないことは見逃す」との意味です。

  • 「サスペンドの信号を出す」、でも「サスペンドをしない」

  • サスペンドの信号を使ってコンピュータを終了させますが、そのとき本当にサスペンドするとコンピュータを停止できないので、サスペンド動作を禁止します。

    BIOSの[MAIN MENU]から[POWER MANAGEMENT SETUP MENU]を表示させます。

    表示中にある、
    PWR Button < 4 Secs を [Suspend]に、(もしくは、Power Button Functionを[Suspend]に)
    Power Managementを Disableにします。 (もしくは、Power Management/APMを[Disable]に)

  • apmdの導入
  • $ rpm -q apmd
    と入力して、apmdが導入されていることを確認します。Vine Linux 2.6では、apmd-3.0final-24が表示されます。導入されていないならば、htttp: //ftp.jaist.ac.jp/pub/os/linux/Vine/等からrpmファイルを持ってきます。

    次の様にroot(管理者:「ルート」と呼称します)となってインストールします。

    $ su -
    Password:****************
    # rpm -ihv apmd-3.0final-24vl2.i386.rpm
  • APM機能の確認と設定

  • root権限で shutdown -h now と入力してシャットダウン動作後に自動に電源が切れるならば、このAPMの設定はなされています。

    自動で電源が切れない場合は、/etc/lilo.conf の中に

    append="apm=on"
    があるか確認し、無ければ追記します。すでに append= に記載がある場合は、
    append="mem=1024M apm=on"とスペースを一つ入れ、続けて追記します。

    追記後は、

    #/sbin/lilo
    と入力しliloをディスクに書き込みます。

    最近のACPIを有効にしたカーネルではACPIを禁止、APMを有効にしないとapmdが働かないようです。

    append="apm=on acpi=off"
    acpi=off を追記します。

  • コンピュータ停止手続きの作成

  • 次の内容のファイルをrootで作成します。置き場所や名前は何でも良いですが、ここでは /usr/local/sbin/poweroff としました。

    #!/bin/bash
    echo -e "\a" > /dev/console
    /sbin/shutdown -h now

    ボタンが押され、停止の動作が始まると音を出すように、echo -e "\a" > /dev/console を記述しています。このファイルの所有者は、rootになっています。実行属性をrootに与えるために、次のように入力します。

    # chmod 744 /usr/local/sbin/poweroff
  • apmdの設定

  • /etc/sysconfig/apmd というファイルをrootで、元のファイルの名前を替えて保存しておきます。
    # mv /etc/sysconfig/apmd  /etc/sysconfig/apmd.bak


    /etc/sysconfig/apmd に次の内容を記述します。

    APMD_OPTIONS="-s /usr/local/sbin/poweroff"
    Vine Linux 2.1にはapmd-3.0finalが入っています。この場合は次のようにします。
    PRESUSPENDCMD="-s /usr/local/sbin/poweroff"
    Vine Linux 2.5や2.6, 3.2では、次のようにします。
    [ "$1" = "suspend" ] && /usr/local/sbin/poweroff
    オリジナルは 、「電源に10%以上の変化があるとログに記録、バッテリ残量が5%を下回ると警告」という設定です。これは、バッテリを持たなければ意味がありませんの で、ここでは外します。この設定も生かしておきたいならば、
    APMD_OPTIONS="-p 10 -w 5 -W -s /usr/local/sbin/poweroff"
    とします。

  • apmdの再起動

  • 設定を有効にするために次のようにします。
    # /etc/rc.d/init.d/apmd restart
    Starting up APM daemon: [ OK ]
    [OK]が表示されます。

    次に、

    # ps x | grep apmd
    と入力し
    # /usr/sbin/apmd -s /usr/local/sbin/poweroff
    と表示されれば準備が揃います。

  • 停止動作の確認

  • rootで
    # /usr/local/sbin/poweroff
    と入力し、その動作を確認します。停止動作(シャットダウン処理)の後に電源が切られると思います。

  • 電源ボタン「プチッ」

  • 電源ボタンを押します。"ピッ"と音が鳴った後にシャットダウン処理が行われ、電源が自動に切られるはずです。シャットダウン処理をせずにいきな り電源が切れるのは多くの場合、BIOSの設定の問題でしょう。また、シャットダウン処理に入ろうとして途中で止まるのは、BIOSの「suspend機 能」が動いています。

    apmdが動作しない理由もBIOSの設定による場合があります。マザーボードにより異なるので、適切なBIOSの設定はいろいろと試さなくてはな らないでしょう。



    文書サーバにMS -Windows、またはMacintoshとのやり取りをさせましょう。もう一度、文書サーバと各 コンピュータとのやり取りの様子を見て下さい。

    各コンピュータと文書サーバの仲 介役をするアプリケーションソフトがあります。
    「Samba」(サンバ)と「Netatalk」(ネドトーク)です。

    サーバとMS-WindowsPCとのやり取りをしているのがSamba です。
    Sambaは、UNIXおよびUNIX互換マシンをWindows NT互換のファイルサーバとプリント・サーバにするオープン・ソース・ソフトウェアです。GPL(GNU General Public License) の元に無償で利用することができます。

    サーバとMacintoshとのやり取りをしているのがNetatalkです。
    Netatlkは、米国ミシガン大学のRSUG(Research System Unix Group)によって開発されたMacintoshからUnix上のファイルを共用するためのUNIX用のサーバソフトです。

    以下のようにしてSamba と Netatalkを文書サーバに入れます。



  • Sambaを文書サーバに入れる。

  • 入っているsambaを確認します。
    $ rpm -q samba

    ftp://ftp.jaist.ac.jp/pub/os/linux/Vine/Vine-2.6/updates/RPMS/i386/等で最新の ものと同じであるかを確認します。
    samba-(バージョンを示す数字).i386.rpm
    samba-common-(バージョンを示す数字).i386.rpm

    文書サーバに 入ってるものが最新でないならば、以下のようにrootとなり入れ替えます。

    $ su -
    Password:****************
    # cd /**/**/ (ダウンロードをした新しいsambaのあるディレクトリ)
    # rpm -Uhv samba-(新しいバージョンを示す数字).i386.rpm
    # rpm -Uhv samba-common-(新しいバージョンを示す数字).i386.rpm

    sambaの振る舞いを決める指定やMS-Windowsからファイルのコピーや読み込みを行う方法は、『日本sambaユーザ会』のサイトにある 「Samba2.2 とLinux(Kernel 2.4)によるWindowsネットワーク構築ガイド」などをご覧下さい。

    GNU/Linuxの /etc/hostsファイルに不備があると思い通りに動いてくれません。OSインストール直後は、例えば次のようになっているでしょう。

    127.0.0.1 docserver.localdomain docserver localhost.localdomain localhost

    これを貴方の使うコンピュータ環境に合わせて編集してください。

    例えば、
    127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
    192.9.200.35 docserver.localdomain



  • Netatalkを文書サーバに入れる。

  • 入っているNetatalkを確認します。
    $ rpm -q netatalk

    入っていなければ、ftp://ftp.jaist.ac.jp/pub/os/linux/Vine/VinePlus/2.6/RPMS/i386/ 等からnetatalk-(バージョンを示す数字).i386.rpm を取ってきます。以下のようにrootとなりnetatalkを入れます。
    $ su -
    Password:****************
    # cd /**/**/ (ダウンロードをした新しいnetatalkのあるディレクトリ)
    # rpm -ihv netatalk-(バージョンを示す数字).i386.rpm
  • netatalkの振る舞いを決めるます。

  • /etc/atalk/ もしくは /etc/netatalk/ にある AppleVolumes.default に以下の様に共有するディレクトリを追記します。

    # casefold options:
    -- 途中省略 --
    # dbpath=path         -> store the database stuff in the following path.
    # password=password   -> set a volume password (8 characters max)
    #
    #
    #~
    /work

    [~]はホームディレクトリです。ここではMacintosh側に見せる必要が無いならば、コメントアウト([#]を先頭に付ける)します。 "/work"は、文 書サーバがMS-WindowsやMacintoshに使わせるディレクトリです。

  • Macintoshからファイルのコピーや読み込みを行う。

  • コントロールパネルでAppleTalkの経由を[Ethernet]にします。

    「アップルメニュー」の「セレクタ」から「AppleShare」を選びます。


    「ファイルサーバの選択:」にサーバが現われます。(ここでは、docserver)

    もしも、表示されないならば「サーバのIPアドレス...」を押してサーバのIP番号を入れます。

    表示されているサーバ名を選ぶと、ユーザアカウントとパスワード入力画面が現われるので入力をします。

    認証が済むと/etc/atalk/AppleVolumes.defaultに設定したディレクトリが表示されます。

    画面に表示させたいディレクトリが複数あるならば、各々にチェックマークをつけ(ここでは、WORKのみ)次に「OK」を押します。

    画面に先ほどの文 書サーバのディレクトリがコンピュータアイコンで表示されます。ディレクトリを開いたりファイルを移動させる操作は、普段のMacintoshの それと同じです。

    コンピュータアイコンを「ゴミ箱」へ捨てると表示が消えます。再度表示させるには、上記と同じことをします。

    MS-WindowsからMac、又その逆にいろいろなファイルを多量に移す時などに、この文書サーバを中 継してやり取りを行うと簡単で、重宝しています。


    上記の文を再編集したMS-WORDとOpenOfficeそれぞれの文書があります。下記のリンクから御利用下さい。
    Samba-GNU-Linux.doc
    Samba-GNU-Linux.sxw

    Samba3を使う
    記述中



    参照URL
    netatalk.sourceforge.net
    日本Sambaユーザー会



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