ここには、Siril-1.4.0、GraXpert-3.1.0rc2、Cosmic Clarity Suite を使った、天体画像処理の流れがあります。
天体画像を恒星と星雲などの部分に分離します。
分離した恒星画像と星雲画像、それぞれに処理を行います。
後に、それらを再合成します。
- Siril 使い始めに : ディレクトリとファイルを用意
- Siril 使い方のヒント
- GraXpert, Cosmic Clarity Suite, Pythonスクリプト を用意します
- Sirilを用いた天体画像処理の流れ
- 前処理 : OSC_Bayerdrizzle, 勾配補正(BE), 色補正(SPCC) : Siril
- 前処理, 勾配補正, 色補正を行った画像を保存します。
- 恒星の飽和を補正 Desaurate Stars : Siril
- グリーンノイズを除く : SCNR : Siril
- Pink Star校正 (行わないことあります): カラー反転、グリーンノイズを除く、カラー反転 :Siril
- 恒星に、逆畳み込み : Deconvolution
- 恒星画像に分離 : StarNet Star Removal : Siril
- 前処理, 勾配補正, 色補正を行った画像を読み込みます。
- Denoising : GraXpert
- 星雲部分に、逆畳み込み : Deconvolution, Object-only : GraXpert
- 星雲画像に分離 : StarNet Star Removal : Siril
- 定常ウェーブレット変換 : Siril
- Denoising : GraXpert
- Cosmetic Correction
- 星雲画像をストレッチ : GHS, BP : Siril
- 星雲画像の彩度 : Color Saturation
- Contrast-Limited Adaptive Histogram Equalization (CLAHE)
- 星雲画像を別名で保存
- 2つの画像を組み合わせます: 再合成: Star Recomposition : Siril
- CLAHE
- Fitsフォーマットや各種画像処理フォーマットで保存
Siril 使い始めに : ディレクトリとファイルを用意
Siril を用意、ダウンロードします。https://siril.org
Siril を使い始める前にディレクトリを作り、各ファイルを置きます。https://siril.org/tutorials/first-steps/
Siril 使い方の案内 https://siril.org/tutorials/tuto-scripts/
Siril 使い方のヒント
Sirilを使い始める前に準備をします。
- 作業を行うディレクトリを指定します。
- 指定したディレクトリに各種ファイルを置くディレクトリを作ります。そのディレクトリ名は、biases, darks, flats, lights : 英語表記の複数形
- flat画像は、短時間露出
- Sirilは、フラット画像を、マスターバイアスで校正しています。
- フラット画像用のダーク画像を使わない。
- フラット画像を20分の1以下で撮影するならば、フラット用ダークは、バイアス画像とほぼ同じなので、flat画像は、短時間露出で撮影します。
Sirilの動画解説は、先ずは、Rich Stevensonさん
“My name is Riche, and you’re watching Deep Space Astro.”
Sirilオプションのメモ
GHSのメモ
GraXpert, Cosmic Clarity Suite, Pythonスクリプト を用意します
Siril は、Pythonスクリプトを使い GraXpert機能を使えます。
その他のいろいろな処理を行う、Pythonスクリプトも使えます。
Siril → スクリプトを入手 → GraXpert-AI.py
Siril → スクリプト → Python Script → GraXpert-AI.py
同じようにCosmic Clarity Suite のPythonスクリプトも用意できます。
SirilでPythonスクリプトを使うには、次の投稿に案内があります。
Sirilを用いた天体画像処理の流れ
次の画像は、Siril と StarNet 、GraXpert を使っています。

Name: NGC6946
Date: 2024-11-03, Gunma
Optics: Takahashi TS-160, HEUIB-II
Camera: ASI294MC Pro, gain 120, offset 5, -15degrees, EAF
Exposure: 180s x 43 (total 2h09m)
Mount: 160jp, Althiba3, off-axis guide, INDI Library
Processing: Siril 1.4.0 beta2, GraXpert 3.1.0rc2, StarNet, Galaxy Annotator v0.9.4
NGC6946
ケフェウス座に位置する銀河です。
NGC6946の周りには、星間分子雲が多くあり、とても「もくもく」しています。
この「もくもく」を強調した処理をしました。
星雲画像にノイズが多く見られたので、ウェーブレット処理は軽めにしています。
Sirilで天体画像処理をするには、撮影した天体画像、フラット、ダーク、バイアス各画像をそれぞれのディレクトリに置き、各種スクリプトを選び行います。
スクリプトで処理された画像に、各種補正などの処理を行います。
ここでは、スクリプト処理画像に、各種補正を行います。この画像を恒星部分と星雲部分に分けます。
分けた画像に別々の処理を施し、別々に処理した恒星部分と星雲部分の画像を、再合成します。
以下の様に処理していきます。
- OSC_Preprocessing_BayerDrizzle スクリプト → 勾配補正 → 色補正 → 縞模様補正など
- 恒星部分と星雲部分を分離 → StarNet2
- 恒星画像と星雲画像を、別々に処理していきます。
- 恒星画像 → グリーンノイズを除く → 明暗反転+グリーンノイズを除く → Desaurate Stars → deconvolution:Cosmic Clarity Sharpen 若しくはGraXpert → StarNet Star Removal → starless画像を使います。
- 星雲画像 → Deconvolution Object-only:GraXpert → StarNet Star Removal → starmask画像を以下に処理します → 定常ウェーブレット変換 → Denoising : GraXpert → ストレッチ (HT, GHS, BP) → 彩度 → 各種処理を施した、starmask画像を使います。
- 再合成 Siril:Star Processing → Star Recomposition 上記のstarless画像 と starmask画像 とを合成します。
前処理 : OSC_Bayerdrizzle, 勾配補正(BE), 色補正(SPCC) : Siril
- OSC_Preprocessing_BayerDrizzle.ssf (OSC: One-Shot-Colorカメラ, Mono: Monoカメラ)
- BE : Siril もしくは GraXpert どちらかで行います。
- SPCC: Spectrophotometric Color Calibration 分光測色法による色校正
Sirilの作業ディレクトリを使い分けると、分りやすいと思います。
恒星画像と星雲画像それぞれに、ディレクトリを用意します。
恒星画像と星雲画像を別名で保存すると、処理内容を切り分けられると思います。
前処理, 勾配補正, 色補正を行った画像を保存します。
恒星の飽和を補正 Desaurate Stars : Siril
飽和した星は、最も明るいピクセルにそれ以上の情報がなく、最大値にクリップされた星のことです。
Desaurate Stars は、ファインドスター中に行われた調整結果を考慮して星のプロファイルを再構築します。
It is important to run this tool on linear images, otherwise the stars will not have a Gaussian/Moffat profile and the calculations will be invalid.
https://siril.readthedocs.io/en/latest/processing/stars/unclipped.html
”このツールを線形画像で実行することが重要です。そうしないと、星はガウス/モファット プロファイルを持たないため、計算が無効になります。”
- SirilのDynamic PSFを使います。[Profile type]は「Moffatモデルは星などの天体のフィッティングに適しています。」なので、私は”Moffat”を使います。
ボタン(ファインドスター)を押して恒星の検出を行います。
- Star Processing → Desaturate Stars
- コンソールに “Remapping output to floating point range 0.0 to 1.0” と表示されます。
- 再構築の結果を見るには、もう一度
ボタン(ファインドスター)を押します。紫色に囲まれた恒星が無くなります。
- 星雲画像とは別のディレクトに、分かりやすいファイル名で保存します。
グリーンノイズを除く : SCNR : Siril
SCNR, Maximum Mask Protection式
m = max(R,B)
G' = G * (1-a)(1-m)+m*G
R(赤色)、B(青色)どちらか値が大きい方をmとします。
a=0.5 を使って透明度を調整し緑色の値を変換します。
Pink Star校正 (行わないことあります): カラー反転、グリーンノイズを除く、カラー反転 :Siril
ワンショットカラーカメラ撮影で、悩ましい”Pink Star”
桃色と緑色は、補色関係にあるので、「グリーンノイズを除く」を用いて”Pink Star”を校正します。
A common use of the negative transformation tool is to remove the magenta cast from SHO images. In this case one need to apply Negative transformation, then Remove Green Noise, then Negative transformation again.
https://siril.readthedocs.io/en/latest/processing/colors.html
SHO画像ではなくても、マゼンタ色、Pink Starを校正できるでしょうか。
This tool is designed to be used on non-linear images, as it operates in a non-linear color space. Make sure the histogram has been stretched before using this tool to avoid incorrect processing results.
https://siril.readthedocs.io/en/latest/processing/colors.html
- 明暗反転
- 反転画像に、[グリーンノイズを除く] (SCNR)
- 再度、反転して反転前の画像にします。
恒星に、逆畳み込み : Deconvolution
Cosmic Clarity Sharpening Settings
- Stellar Only
- Use GPU
- Clear input directory
- Autodetect PSF
- Stellar Amount:
- Cosmic Clarity Executable
- FWHWを求めるために、SirilのDynamic PSFを使います。
ボタン(ファインドスター)を押して恒星の検出を行います。
- コンソールに “Found 7160 Moffat profile stars in image, channel #1 (FWHM 3.914131)”などと表示されます
- この”FWHW”の数値を GraXpert → PSF Size: スライダーを動かして入れます。この場合は、[3.92]です。
- Strength: を適宜に決めます。
- 分かりやすいファイル名で保存します。
恒星画像に分離 : StarNet Star Removal : Siril
StarNetは、Nikita Misiuraさんが開発したソフトウェアです。
StarNetを使う目的は、天体画像を恒星部分とそれ以外を分離し、除去し、それぞれに異なる処理を行う為です。
- Generate star mask が選ばれていることを確認します。恒星画像が作られます。
- Upsample x2:StarNetを実行する前に画像を2倍にアップサンプリングします。これにより、非常に小さな星の処理性能が向上しますが、処理時間が4倍になり、非常に大きな星の処理性能が低下する可能性があります。
“starmask_[ファイル名].fits” が出来ています。後にこのファイルを再合成に使います。
前処理, 勾配補正, 色補正を行った画像を読み込みます。
Denoising : GraXpert
星雲部分に、逆畳み込み : Deconvolution, Object-only : GraXpert
前処理を行った画像に、星雲画像のために、逆畳み込みを行います。
ディレクトリを分けて、別名で保存します。
- FWHWを求めるために、SirilのDynamic PSFを使います。
ボタン(ファインドスター)を押して恒星の検出を行います。
- コンソールに “Found 7160 Moffat profile stars in image, channel #1 (FWHM 3.914131)”などと表示されます
- この”FWHW”の数値を GraXpert → PSF Size: スライダーを動かして入れます。この場合は、[3.92]です。
- Strengthを適宜に決めます。恒星画像とは違う数値も試してみましょう。
- 分かりやすいファイル名で保存します。
星雲画像に分離 : StarNet Star Removal : Siril
星雲部分に以降の処理を行うので、Deconvolution, Object-onlyを終えた画像を分けます。
- Upsample x2:必要に応じて使います。
定常ウェーブレット変換 : Siril
Denoising : GraXpert
星雲画像にノイズ除去処理を行います。
- Denoise Strength
Cosmetic Correction
星雲画像をストレッチ : GHS, BP : Siril
始めは、
バックグラウンドかヒストグラムが”0″に近いところ、若しくは、ヒストグラムのピークを、Symmetry point(SP)にするのも良いです。
GHS 各種モードについては、次の投稿を参照して下さい。
星雲画像の彩度 : Color Saturation
Contrast-Limited Adaptive Histogram Equalization (CLAHE)
星雲画像を別名で保存
2つの画像を組み合わせます: 再合成: Star Recomposition : Siril
それぞれに処理を施した、恒星画像と星雲画像を再合成します。
Star Processing → Star Recomposition
- 星雲画像 Object-only、定常ウェーブレット変換、 Denoising、ストレッチ、彩度補正など処理を施した starmask画像
- 恒星画像 Deconvolution、 グリーンノイズを除く(SCNR)などを施した starless画像
- GHSを用いる 星が飽和しないように調整します。
- Colour stretch model :
- Clip mode : Rescale, RGB blend などに切り替える
- Rescale: “1”を超えたピクセルのみ割り算を行う → 輝星などはそれだけ暗くなる。
- RGB blend: “1”を超える場合には、RGBモードで変換した値とブレンドする.
→ 輝星は、白っぽくなる。
- [Strech Factor] を調整します。
- [Local intensity] の値を調整し、明るい星が、鋭く好みの状態にします。
- GHSを用いる 星が飽和しないように調整します。
CLAHE
Contrast-Limited Adaptive Histogram Equalization
コントラスト限定適応ヒストグラム等化
ヒストグラムの凹凸を無くして、幅広く均等化する。ヒストグラムを平坦化する。
Fitsフォーマットや各種画像処理フォーマットで保存
調整が終わったならば、fitsファイルを保存します。
必要ならば、画像編集ソフトが扱える画像フォーマットでも保存します。
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