地表面と水面の「放射の強さ」は、温度によりその強さが異なります。
この反射と放射を、光学センサと放射計はとらえます。
植物は、 近赤外線 (0.9μm:
NOAA,
ch2)の反射がとても強く、 黄緑色
(0.55μm:
NOAA, ch1)の光では反射が弱い性質を持っています。
水は、近赤外線の反射が弱く、 黄
緑色の光や 青色(0.5μm)の光では反
射が強い性質を持っています。
植物と水の反射特性は逆です。
土は、黄緑色の光の反射が強い性質を持っています。
各衛星のセンサは、「反射の強さ」と「放射の強さ」を捕らえます。
https://www.eorc.jaxa.jp/hatoyama/satellite/satellite_mechanizm_j.htmlより(出
典 宇宙航空研究開発機構:JAXA)
NOAA極軌道環境衛星に搭載されている画像データ用光学センサは、AVHRRと呼ばれます。
AVHRRは、Advanced Very High Resolution
Radiometerの略称で、日本語ならば「改良型高解像度放射計」です。
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NOAA極軌道環境衛星は、1km四方を見分けられ、幅2800kmを観測します。APTでは4km四方になっています。
話はそれますが、衛星から人の顔を見分けるにはハッブル望遠鏡衛星以上の性能が必要で、
衛星の大きさが18mになります。その大きさの衛星は、衛星追跡をしている民間の団体が一つを確認したそうです。
NOAA極軌道環境衛星が地球を観測する様子を例えるならば、貴方が手持ちのスキャナで写真を取り込む姿に似ています。
手持ちスキャナを動かす貴方の手はゆっくりでしょうが、NOAA極軌道環境衛星は秒速8kmです。
手持ちスキャナが使える幅は数十cmですが、NOAA極軌道環境衛星は2800kmです。
NOAA極軌道環境衛星のスキャナ部分は幅が広いのではなく、回転する鏡を使っています。
これも例えるならば、貴方が立った状態で目の前に鏡をかざして、鏡越しに足元を見て下さい。
その鏡を回転させて、貴方の右から足元そして左側を見て下さい。上側は無視して下さい。
そのまま貴方が秒速8kmで走ると、NOAA極軌道環境衛星が地球を捕らえる姿と同じ感じになります。
NOAA極軌道環境衛星の各センサは、雲や氷、海面や地表や植物を捕らえます。
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NOAA-12 '07 10/10 廃止 |
136.77 MH | 停波 |
停波 |
NOAA-14 '07 5/23 廃止 |
136.77 MHz | 停波('02 /8/14) | 停波 |
NOAA-15 | 137.35 MHz | 137.62 MHz | 1702.5 MHz |
NOAA-16 | 137.35 MHz | 停波('00 11/15より) | 1698.0 MHz |
NOAA-17 | 137.35 MHz | 137.5 MHz | 1698.0 MHz |
NOAA-18 | 137.35 MHz | 137.9125 MHz | 1707.0 MHz |
NOAA-19 |
137.35 MHz |
137.10MHz |
1698.0 MHz |
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METEOR 2-21 | 137.400MHz | 停波 ('03/7/18) |
METEOR 3-5 | 137.300MHz | 停波 ('03/7/18) |
METEOR 3-6 | 137.850MHz | 停波 ('03/7/18) |
137MHzが受信できる受信機を用意します。
「ドングル 受信機」をキーワードに検索すると、USB端子に繋ぐ受信機や、SDR, Software Defined Radio を検索すると、ソフトウェアラジオが見つかるでしょう。
これらを使うと良いでしょう。
広域受信機やアマチュア無線機や気象衛星用受信機を用意します。
気象衛星は、アマチュア無線の領域外を送信に使うので、その領域を扱える受信機が必要です。
APTの受信帯域幅は、30kHzから50KHzが必要ですので、受信機はこの帯域幅を扱えるものが好ましいです。
ワイドFMは一般な無線機では
230KHz、ナローFMは例えば15KHzですから、気象衛星はその間です。
気象衛星用受信機は、もちろん自作ができます。
プリンストン大学、Daniel Marlow氏の講座がたいへん参考になります。http://wwwphy.princeton.edu/~p104/satlab/
円偏波が思い浮かばない方は、「 偏 波アニメーション」の語で検索して下さい。いくつかの円偏波の摸式図が見つかるでしょう。
(上図出典元:『JARLアマチュア無線ハンドブック』 1981年 CQ出版)
さて、気象衛星受信アンテナは、右回転か左回転のどちらにするのでしょうか?
画像復調ソフトWXSatのHELP文書によれば、気象衛星からのそれは皆、右旋円です。
衛星から見て右回りならば、地上の私から見れば左回りです。ならば、受信アンテナは左回転でしょうか?
この部分が判りませんでしたので、左右両旋円を試しました。
結果は、globe3.ddns.netの受信環境では、画質に大きな違いは見られませんでした
・ターンスタイル、銅線アンテナ
スタック、リフレクタ無しの円偏波アンテナです。
同軸ケーブルに銅線を1/4波長、約53cmを上図のように取りつけただけの簡単なアンテナです。
銅線
は、十字に組んだ角材上部に結び付けてあります。簡単な上に安いものですが、衛星の地上高10度以上ならば、確実に電波を捕らえています。
ただし、受信状況により画像に乱れが多いので、現在は使っていません。
角材は、銅線を置くためのものです。括り付けたタッパには「超広帯域アンプ」が入っています。
2本のアンテナは「Qマッチセクション」でつなぎます。これはスタックアンテナと同じ要領です。
globe3.ddns.netでは、市販されている144MHz用アンテナを未調整で受信したところ、QFHアンテナと同等の画像になりました。・ターンスタイル、八木・宇田アンテナ
144MHz帯5エレシングルの八木アンテナ、MASPRO-144WH5を2本用意し、[ターンスタイルアンテナ]の様に接続しました。
これを、ワイパーモータを取り付けたアルミ脚立に載せ、水平方向のみを動かし衛星を追います。
144WH5の半値角度は55度なので、仰角は約25度にしています。これも簡単なものですが、極低高度の衛星信号を受信できます。
・Quadrafilar Helix Antenna (QFH, QFHA, QHA)
固定したターンスタイルアンテナでは、受信レベルが変化するフェージング(位相差:phase)が起ります。
しかし、QFHアンテナはフェージングが少なくなります。
QFHアンテナは、手作りができます。
ビル・スカイズさんとボブ・コビィさん http://www.askrlc.co.uk/
や http://perso.wanadoo.es/dimoni/ant_qha.htm
が参考になります。
John Coppens さん http://www.jcoppens.com/index.php
のサイトにある http://www.jcoppens.com/ant/qfh/calc.en.php
は、
受信する周波数にあわせて、各寸法を計算できます。各ページのアンテナについての解説も優れています。
このQFHアンテナは、円筒に沿って上下に180度ひねった銅パイプを使います。試 作の様子。
・コンバイナ
アンテナを組み合わせて使うには、
「3D無線クラブ」 http://www.ddd.eek.jp/ddd/に
ある、
「受信専用 10MHz〜1000MHz 対応 50Ω 4分配器の作り方」http://www.ddd.eek.jp/ddd/54-4bunnpai/index.htm
を使うといいでしょう。
・超広帯域アンプ
上記のターンスタイルアンテナとQFHアンテナには、気象衛星の地上高が低くても受信感度を上げるために、
μPC1651Gを使った(有)秋月電子通商から販売さている、「超広帯域アンプ・キット」を取りつけました。これは必ず必要なものではありません。
[ソフトウェア]
・画像復調ソフト
WXtoImg (Weather to Image)という名前のソフトウェアです。サウンドカードのみで画像を得られます。http://www.wxtoimg.com/
globe3.ddns.netでは、WXtoImgの開発や日本語文書に関わっています。
何かありましたら、nakato[at_mark]globe3.ddns.netへお気軽にお知らせ下さい。
WXtoImgの日本語訳と解説は、こちらです。
・追跡ソフト
貴方がWXtoImgを使うならば、衛星の軌道要素から、各気象衛星が現れる時間をWXtoImgが計算するので、世界地図上での衛星位置
http://science.nasa.gov/realtime/jtrack/Spacecraft.html
宇宙から見た地球の三次元画像と衛星の位置
http://science.nasa.gov/realtime/jtrack/3d/JTrack3D.html
NOAA極軌道環境衛星の位置
http://science.nasa.gov/temp/NOAA15Loc.html
URL中(NOAA12Loc.html)の数字を12,14,15のいずれかにします。
・画像表示
*NIXやGUN/Linuxには、XVがあります。「color editor」の「HistEq」や「Intensity」の各パラメータを調整して使います。
・画像編集
GIMPが便利だと思います。http://www.gimp.org/
・録音ソフト
WXtoImgやWXsatを使用すると必要はありません。Sound Studio for Linux. http://studio.sourceforge.net
無線機からの入力レベルを調べたかったので使いました。
studioの rpmファイルは、redhatから頂いてきました。ftp://ftp.redhat.com/pub/redhat/linux/6.2/en/powertools/i386/i386/SoundStudio-1.0.2-3次のコマンドで起動させます。
studio「/usr/lib/SoundStudio/Linux に"sox"が無い」と、エラーが出たので次のようにリンクを張りました。
ln -s /usr/bin/sox sox
NOAA12 |
NOAA14 |
NOAA15 |
NOAA17 |
NOAA18 |
NOAA19 |
|
平均高度 |
804km |
845km |
807km |
810km |
854km |
km |
軌道傾斜角 |
98.6 |
99.1 |
98.6 |
98.7 |
98.74 |
--.-- |
公転周期 |
101.1 |
101.9 |
101.2 |
101.2 |
102.12 |
---.-- |
・ケーブルをつなげます。
アンテナと無線機を同軸ケーブルで繋げます。無線機の外部出力とサウンドカードもケーブルで繋げます。
無線機のスケルチは下げておきます。無線機とPCのミキサーにある音量を中間くらいにしましょう。・緯度と経度を指定します。
WXtoImg画面の[Options]にある[Ground Station Location]を選び、受信をする場所の都市名と、
日本ならば国名に「japan」を項目に入れて下さい。次に[Lookup Lat/Lonbutton]ボタンを押すと緯度、経度が表示されます。・軌道要素を取り込みます。
コンピュータをインターネットにつなぎ、"Options"メニュー の"Internet Options..."を押しましょう。
GUN/Linux版で、2ヶ所から選べる場合は、"Get Keplers from Celestrak"に印をつけます。
最新の軌道要素を取り入れたい時や、MS-Windows版などでは、www.space-track.orgに登録が必要になるでしょう。
"File"メニューの"Update keplers"を押します。最新の軌道要素が取り込まれます。
・受信します。
[File]にある[Record...]ボタンを押します。続けて[Record]を押します。・周波数と音量
WXtoImg画面の下に通過する気象衛星名、高度、送信周波数、通過時刻が表示されます。
受信機の周波数を、表示された周波数に合わせます。
衛星が飛んで来るまで、お茶や紅茶、珈琲を飲んで待ちましょう。
衛星の通過時刻には、受信をしている音量が表示されるでしょう。その色が緑色になるように音量の調整をして下さい。
表示される音量は、50.0 から 75.0の間にします。初めての受信では音量を控え目にしましょう。・画像が見られましたか?
衛星信号の受信は、10分から15分間続きます。
衛星通過後に受信信号が解析されて、画像が表示されるでしょう。
画像が極端に斜めになっていますか?
斜めになっている場合は、WXtoImg画面の[Help]にある[Frequently Asked Questions...]中の
[斜めな画像]にある「斜めの画像に垂直側の端がありません。」の案 内を見ながら修正をして下さい。
[受信機について]
帯域幅が、40kHzから50KHzを扱える受信機が望ましいです。これよりも狭い帯域幅でも、受信と画像復調はできるでしょう。
globe3.ddns.netの受信機は、帯域が12KHzのナローFMなので、そのまま受信し階調スケール(グレースケール)を見ると、
高域及び低
域がありませんでした。そのために、帯域幅を変更する改造をしてます。
こ
ちらを参照して下さい。
WXtoImgは受信中及び復調が終わり、画像が表示されると、右下に音量を表示します。
WXtoImg[2.3.12]以前ならば、gain数値を4から16にします。
WXtoImg[2.3.13]以降は、音量を50から75の間に調整します。
数値が小さいならば受信機の音量を上げ、数値が大きいならば音量を下げます。
始めての受信は、音量を下げ気味にすると良いでしょう。
[雑音]
受信音にテレビやラジオ、航空業務無線が混信することがあります。
まずは簡単に、アンテナや受信機の置場所を替えてみましょう。混信が無くなる場合があります。
受信機改造の場合は、短い配線が他の無線やラジオの 周波数を拾うアンテナの役割りをすることがあります。
電源には、市販されるノイズフィルターを入れることも考えられます。
globe3.ddns.netが受信した画像は、
今
月の気象衛星画像
と
今日の気象衛星画像
をご覧下さい。
[APTの構成 について]
アメリカ海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration)に解説があります。
以下は、http://www2.ncdc.noaa.gov/docs/klm/html/c4/sec4-2.htmを
元にしています。
自動画像送信(APT)は、AVHRR/3から AVHRRチャンネルのうちの2つを処理し、再編されたデータを送信します。図4.2.2-1可視光チャンネル(ch1, ch2)は日中に使われています。赤外線チャンネルは絶えず(昼夜)使われます。
他の赤外線チャンネルは軌道の夜間部分中に、可視光チャンネルと切り替えて使われます。APT信号は連続に送信され、衛星の電波が届く範囲ならば、低価格の設備で比較的簡単に受信できます。
処理されたAVHRRデータ振幅変調は、2400Hzのサブキャリアを調整します。
最大のサブキャリア調整は、87%±5%(92%を超過せず に)の調整を行い、グレイスケールエッジ番号8(図4.2.2-1を参照)の振幅として定義されます。振幅変調(AM)調整された副搬送波が、続いて周波数変調(FM)に使われる137-138MHz帯の送信機を調整します。
下表4.2.2-1は APT送信特性の要約です。
欧州気象衛星機関 EUMETSAT (European Organization for the Exploitation of
Meteorological Satellites)
EUMETSATが初めての極軌道衛星を、2006年7月17日、日本時間7時29分(世界標準時:16時29分)にカザフスタンのバイコヌール基地から打
ち上げました。
http://www.eumetsat.int/idcplg?IdcService=SS_GET_PAGE&nodeId=47&l=en
にpdfによる案内があります。
MetOP-2は打ち上げ後には、MetOp-Aと呼ばれます。
EUMETSAT User Services にいらっしゃる デビー リチャード さんからのお知らせでは、
アナログ伝送のAPTは無いとのことです。
[最近の NOAA極軌道環境衛星 APT送信]
http://noaasis.noaa.gov/NOAASIS/ml/specialbull.html
http://www.oso.noaa.gov/poesstatus/
http://www.osdpd.noaa.gov/PSB/PPP/notices/notices.htmlより